歯科医もワーキングプア

📅 公開: 2008-01-24

ワーキングプアが深刻なのかと眺めていたら高学歴者(非常に優秀な研究者)のワーキングプアもメディアが報じないところでささやかれ、ヨーロッパでは「千ユーロ世代」が話題にのぼっていたり。で、ついに弁護士はじまったなと思いきや歯科医も。歯科の先生方については何を今さら感が漂ってますが。

歯科業界に限定すればもう少し酷くなるでしょう。需要と供給が不釣り合い。数十年程度先に産科医や小児科医と同じ状況になるまでつづく。ただし、産科医や小児科医ように「やってられねぇや」とつぶやき減っていくかにギモン。あと患者側の認識とシステムに開きがありすぎ。

歯科医に広がる ワーキングプア | 医療介護CBニュース – キャリアブレイン

歯科医師の5人に1人が年収300万円以下、歯科技工士の3人に1人が200万円以下。たしかに零細企業や中小企業程度の給料を支払っていたら、個人開業の歯科医院は続けられない。一人開業の歯科医院なら売上の頂点は固定される。青天井じゃない。

おまけに収入の単価を自ら設定できない、自費以外は。肝心の売上は_「20年間引き上げられていない」_。自費でも「ほんとうに」自己決定できる先生は少ないと思う。インプラントは「商品」じゃないのに「定価」があるわけで。

となると、どこを削るか?

極論すれば時間と支出。時間は診療時間。といっても1チェアー単位の診療時間。支出は給料。1チェアー単位の時間が削られる「意味」を患者は知らない。結果的に一昔前なら(今もそうかもしれないけど)、「根治」しない原因が「ある」わけで。もちろんそれだけが原因のすべてじゃない。あくまで全体の原因のひとつ(知ったかして申し訳ありません)。その原因をサイトにでも掲載すれば「耐震偽装」になるから、とささやく先生もいらっしゃる。良い悪いじゃなく、「そういう」ものといった非対称の事情。

1チェアー単位の時間を削る一方、全体の診療時間をふやす。

じゃぁ、患者は?

ものすごい「ギャップ」を感じる人は患者側には少ないと思う。至極当然の要求だし。

二律背反。「保健診療の範囲を広げる」ことと「患者・国民の要求に十分にこたえる」こと。こたえようとして、「しっかり治療する」ようになれば1チェアー単位の時間は増える。でも保険点数は変わらない。だから「根っこ」の問題をスルーしてしまう。

「歯は命 歯科医療危機突破10.28決起集会」で訴えるような報告よりもそもそも「歯は命」という意味を患者は理解できない。そういう「機会」に接していない。だから、「もっと保険診療」をと。

再度書く。結構な勢いでギャップが広がっている。それは患者の「中」にも。

私の歯が全部抜け落ちるころに「ああ、そんなたいへんな時もあったね」なんて総義歯で笑えるようになってほしいと思う。

私の望みは歯がすべてなくなっても通える歯科医院。